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『スターリーチフェスティバルVR』がかなりいい

最近VazaRが出してきた新作VRボドゲが将来のトレンドを暗示しているような出来でした

SUSABI GAMESが製作している「スターリーチフェスティバル」のVR版をVazaRが製作して最近フリープレイ期間が始まったのですが、ユーザビリティやワールドの品質の観点から将来のVRボードゲームのスタンダードを提示してくるようなすばらしい出来でした。

この作品は別のボードゲームである「アイドルアライブ」のスピンオフ作品……らしいです。そっちのゲームのほうはまだ知らないのですが、このゲームによって本家アイドルアライブのほうへの導線がまたひとつできた、ということなんだと思います。

まずワールドの見た目がいい。最近のVazaR製ボードゲームワールドは世界観をうまく提示するような構成になっていますが、このワールドは群を抜いている感じです。

ワールドに入るとあらわれるのがまずアイドルたちの楽屋。小道具などにディテールがあってとてもいい

楽屋を出るとステージ裏。そこからステージに上がると……

きらびやかなステージとともにゲーム盤がある

今回は特にいいです。同SUSABI GAMES作の作品「ギブトレ」のワールドもよかったので、なんらかのディレクションがあるのでしょうか?

ゲームもシンプルでとても遊びやすいです。いわゆる「バッティングゲーム」という範疇のゲームで、カードに書いてある数字をなるべく他の人と被らないように出し、中央の観客を取り合っていくというのが基本ルールです。

ここのワールドがさらにすごいところが、カードのほとんどの効果が半自動的に処理され、煩わしい点数計算や、ややこしい処理についてあれこれ考えを巡らせる必要がないというところです。たとえば「カードの数字が大きい順に観客カードを取っていく」というのが基本ルールですが、これを「カードの数字が小さい順にする」という効果を持つカードが存在します。これを出したときは、中央に表示されるルールも自動的に「小さい順で」と表示されるのです。ここまで作りこまれているVRボードゲームはなかなかないですね。

ゲームを遊んでいる様子。VazaR製のゲームは相手のカードが自分に見えないので、カメラで全景を撮っても写らない

かといって、自動ではないのがすばらしいところです。カードを出したり、ひっくり返したり、手番を処理するのはプレイヤーの操作に委ねられています。ここも自動にすることは技術として可能なはずですが、そこまでしてしまうとボードゲームとしての妙味を損なってしまうと判断したのでしょう。結果的に、ボードゲームの煩わしいところを丁寧に排除しつつ、ボードゲームの楽しさを損なわない絶妙なバランスが達成されているように感じました。

さて、最初の説明だとSUSABI GAMESが製作したボードゲームをVazaRがVR化したかのような説明ですが、現実は逆で、VR版のほうが先に出ており、物理版はゲームマーケット2025秋からの販売開始になっています。つまりVRでボードゲームを遊ぶことが最初から想定されているゲーム……なのかもしれません。この遊びやすさは単にリアルのボードゲームをVRに持ちこむだけでは達成できないレベルであると感じました。

また、VR版が物理版より先に出ることで、物理版のよい宣伝となるように期待されているわけですね。この取り組みがうまくいくかどうかで今後のVRボードゲーム開発の流れが決まっていくような気もしてワクワクします。

遊びたい人はVRChatのワールドを訪れてみるといいでしょう。現時点では無料で遊べるようになっています。

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